視界が開ける瞬間 ??望月遊馬『海の大公園』について/岡部淳太郎
」と語られている。これはある種の思考の転換であり、そのことによって視界が開けることでもあるだろう。言わば「海がないことを知った」ために、逆説的に本当の「海」に出会うことが出来たのだ。
こうしてこの詩集は「海」を巡る旅を終える。本当の「海」に出会った後でしなければならないことは、その「海」の只中へと乗り出していく航海だ。本詩集刊行時点で十九歳とまだ若い作者の航海に、幸多からんことを願いたい。
(二〇〇六年九月〜十月)
戻る 編 削 Point(3)