ゆら/まきび
 
目が見えているとき人は
明かりを尊ぶ
暗がりを恐れ
不自然に遠ざける

生きているとき人は
生を尊ばない
死をも尊ばず
無為なときをすごすものもある

目が見えなくなったとき人は
暗がりと親しみ
明かりをも忘れないがしかし
見たくてしょうがないものが見えない

死のうとするとき人は
生を信じない
死をも信じず
疑いを持ったままあいまいに死のうとする

人一人の愛を失ったとき人は
愛を殺す
愛の感触をわすれ
どんどん臆病になってゆく

明日を見限った旅人たち
若しくは
明日に振り落とされた人たち

あなたたちはみじめではない

生がそのよ
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