そら・まぼろし/青色銀河団
 
真っ赤なわたしは
真っ赤な夕焼けから生まれる。
毎日生まれる。
太陽の逃亡者。
真っ赤なわたしの
真っ赤なためいき。
麦をざわめかす。
行方不明になってしまった
空を焦がす情熱よ。
傾くあのそらを
撃て。

さよならが
かな・える
かなしいうそ
ひだまりの
世界で
立ちつくしている
ゆれるそら
ゆれるカノン





百葉箱のかたわらで
耳をふさぐ
わたし




―野原でまぼろしが燃えていましたね。
―ええ燃えていましたね。
―あのあおじろい火から
 燃える蛍のランプはいくつ作れるのでしょうね。
―ええいったいいくつ作れるのでしょうね。
―私たち十四歳にもあのあおじろい火は燈っていますね。
―ええ私たち十四歳の白い体にも
 あのあおじろい火は透いて見えますものね。


天使は何も語らず
少年の仮面をつけた少年が
蜜柑色の声で泣く






少年よ
空を焦がすほどの情熱で
傾くあのそらを
撃て!


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