桃太郎/若原光彦
 
んは、おじいさんにいいました《おじいさんが先に食べるなら、食べる》
ふたりはなかよく味噌ワニを食べました《うーん、まずい》
やっぱりしょっぱくてあまりおいしくなかったそうです
その夜、おじいさんはおばあさんにいいました
《あの時の焚き木だけど、ごめん、あれは、ふもとの村で買ったんだ》
《焚き木って、エベレストの》《ごめん》《なんで》
《遭難して柴刈りどころじゃなかった、バットマンが助けてくれたから帰ってこれた》
《そうじゃなくて、なんで、なんで、それを今ごろになって話すのよ》
おばあさんがおじいさんを許したかどうか、伝説には伝わっていません
ただ、四十年後、おじいさんとおばあさんが離婚したのは、
別の理由によるものだったそうです
戻る   Point(2)