他部族の踊り子/緑茶塵
 
黄土色の民族衣装。赤と青のヴェール。
太鼓と珍しい笛、それに見た事もない弦を使った楽器。
うっすらと唇にひかれた化粧は、燃えるような色をしていた。
髪はやわらかく熱気にあおられている。
漆黒を縁取るような蒼ざめた虹彩が、微かな狂気をはらみわたしを見つめていた。
口唇の端が白く切れあがり、彼女はそのヴェールを剥いだ。
胸元から伸ばされた白い腕に、炎が撫でるように映えていた。
つめの先も赤。髪の色も赤。
彼女の全てが、炎のように揺れていた。

私は彼女の踊りの熱気に当てられ、テントを出て夜風に当たった。
天幕のなかでは、踊りと伴奏が続いていた。
手にした杯(木製だ)をあおり、地
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