秋は夕暮れ/渕崎。
秋の空気はどこかやわらかく感じるのは如何してでしょうか?
夏の熱を孕んだ空気がやわらかく溶け始め、冬の身を切るような冷たさを孕む空気の合間の一瞬をわたしはずいぶん好いております。
カーテンを揺らす風はまろやかで肌に心地よく、ふとすれば何所からともなく忍び寄ってきては眠気を誘い、ついつい活字を追う視線を止めてまどろみに身を委ねてしまうそうになるのですがそれすらも愛おしく。
愛犬とそっと寄り添って、幼い頃にお昼寝用にと隣家のお姉さんが作ってくださった長い座布団のうえに丸まって眠るのは素晴らしく幸せな一時です。
何所からともなく薫る金木犀の香りや、最後の一鳴きを告げるひぐらしに、目に
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