聞き役/暗闇れもん
うではないらしく、私は正直困惑した。私は彼に「では、貴方は今何がしたいの?」と問いかけ、そして自身にも疑問を感じたときに何を相手に求めていたのか問いかけてみた。それは彼と同じく「分からない」ただその一言だったのである。ただ私が仮に彼と同じ言葉を誰かに言ったときに、相手が受ける衝撃の重さを知ることはできた。分からないということだけで大切な人に呟いてはいけない言葉だと分かった。今までのことが全て否定されたように、今の私の心は空っぽになってしまっている。でもそれでよかった気がしている。この衝撃を彼に与えずにすんだことを神に感謝している。
私が死にたいと思うときに限って身近な人が私に対して死にたいという。私が相手を思いとどまらせようとするその言葉がそっくり自分に返ってきている気がするのだ。
私はまだ未熟で考えが足りない。その考える時間を誰かが毎回与えてくれている気がする。だから私は聞き役にまわるのですとある人に言ってやった。
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