満月の底/atsuchan69
あれは僕たちの出会い――
そして躓きの石の置かれたビルの谷間
超法規的な/ 許可された殺人が
白昼堂々と行なわれる、そのさなか
君は赤いエナメルのパンプスを履いて
無惨な死体の群れを踏みながら
女豹のごとく足早に過ぎてゆく
銃口をむけて立ち止まった君が云った、
「試してご覧になってみては?
――スリリングな生き方という現実を。
僕は/ グラマラスな君の肢体を抱き、
黒革のミニのスカートを捲った
汗ばんだ女豹の匂いが僕を包み、
夢よりも重い一時の価値を胸に刻んだ
君を愛してしまった、狂うほどに!
もはや思想やモラルを超えて君の全てを
と同時に、互いに囚われ
処刑される日までの限りある時間に
暗殺と間諜の日々の空しさが
この牢獄に重く沈むのをたった今
息も絶え絶えに想う
小さな窓から射す月の光
ああ、「今宵は満月なのだ。
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