樹/葉leaf
いつの日かきっと
樹は空を砕くだろう
その日のために
言葉たちが樹を覆っている
仕草たちが樹をめぐっている
樹が美しいのは
目に見えないすきまが
哀しく発電しているからだ
曲がり損ねた管たちが
島のように転落しているからだ
樹が美しいのは
重力を産み落とす木の葉たちが
人の眼を残酷に編んでゆくからだ
私は枝々のつぶやきを呑む
遠く離れた土地にあっても
樹の欲望は私の血管を組みかえる
影がにじんだ葉叢は
私の肺で開闢する
*私が起ち上がるとき
樹も起ち上がる
*私が衣服をまとうとき
樹も衣服をまとう
*私が街へ出かけるとき
樹も街へ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(11)