成れの果てに/黒川排除 (oldsoup)
 
太陽が沈もうとしている悪意に満ちた 語らずも動かぬ夢の終わりだ 緊張する空気
を飲み込んでいる 生きることを諦めた孤独なかたまりが 三方にそびえ立つ壁に驚
いている 背後以外を囲む壁は上方へ伸びるに従って 内側へと緩やかにしなって閉
じている 日はちょうど目の前辺りを今沈んでいるはず 夢のように ぽっかりと空
いた 後方の隙間はまっすぐ続く道路を覗かせるが それは置き去りにし続けてきた
己の影の連なりだ それを拾い集める屈辱など 秩序でしかありえない 組み立てら
れぬ部分に沿って 光と闇の輪郭が分かれ始める ありふれた命題が解決して壁は完
全に閉じてしまった 急に何も見えなくなったことに 感じる不安が聴覚を研ぎ澄ま
し 前方に大勢の何者かによる歓声を聞く! 自分の形さえ認められぬかたまりは 
悔しくて前方の壁を叩いた 「入ってます」
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