領域/ねなぎ
 
ふと
波長が長いと
思った夜に

少し風が冷たく
色温度の低くなった中で
フィルタ無しの色は
焦点が合わず
波間に浮かぶ灯りが
白くぼやけていた

潮の匂いで
絞りが合わないと
感じていた

音だけが寄せて
テトラポットの組まれた際に
耳鳴りが響き
反射率を考えていた

右側のフィルタが
調子が悪く
世界は半分だけ
歪み
白トビを起こしていた

波長のずれは
変調を起こし
冷たい湿度が
耳に張り付いていた

補正無しの白は
冷たく
検知信号を
読み取る事を放棄した

伝送を探す中で
領域が無い事に
気が付いた時には
波長は益々
長くなり
縦波に近く
色は潰れ
二色の世界は
平面として
灯さえも見えなくなっていた
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