めぐる/松嶋慶子
 
さよならも告げず終わった夏の恋 朽ちた蓮の葉 爆ぜた秋の実


上弦の月に投げてみたりする 過ぎ去りし恋を球のかわりに


しあわせは賞味期限なしにつき 恋せば回れ 急がば哀れ


笑うなら自分の不幸 数えるなら他人の幸せ それが順番


老女の皺深き笑みに目を閉じてみる 幾年月の春は輝く





---------------------
1988/9
戻る   Point(8)