顔 その4/
恋月 ぴの
仮面
産まれたての
あの頃に
戻りたくて人は被る
嘘
他人を欺きとおせても
おのれの顔だけは
欺けない
頭蓋骨
それは追憶のためにある
生きていた頃の
苦悩と歓びの残像を
その姿に宿し
画家のテーブルで時を刻む
ピカソが
セザンヌが
描こうとしていたもの
物体と化した
表情の向う側で語りかける
眼差し
それらの愛おしさを
絵筆の先
感じるままに
生きるがままに
[グループ]
戻る
編
削
Point
(20)