道標/ウデラコウ
日常と日常の狭間にある 奈落に
いつもなら 気付きもせずに 過ぎ去ることのできる狭間に
ふとした瞬間に躓いて
酷く恐ろしい残像にあたしはとらわれる
一瞬にして あたしを取り囲み 耳に不覚ニブく残る音で一言静かに囁くの
「ホウラ、アナタハ ソレデモ ヒトリナノ」
見て見ぬふりをしていた 何かを 明確に思い出し
ソレはすぐにあたしの 負を凌駕し浸食する
そんな時、
手を伸ばして
おかしいくらいに 只管救われるコトを 求めて
手を伸ばして
触れた アナタの その表情が
いつもと 何一つ 変わりなく おだやかであることに
あたしは酷く嬉し
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