金魚の別れ/愛心
 
は夢月の肩にもたれました
手にはココアを持ったまま・・・・・

チッチッチッチッチッチッチ・・・

時が静かに流れます
もう今が何時かなんて分かりません
月がゆっくり傾くにつれ
私も息苦しくなってきました

夢月はそれに気付くと
私をきゅっと抱きしめました
「大丈夫か?紅香?」
私は手を月にかざしてみました
小指の指輪が鈍く光りました
それと同時に
私の手も鱗でキラリと光りました

月が沈み始めたようです
『苦しい・・・・・』
私の身体は縮んでいくようでした
赤みも帯び始めます
「大丈夫か!紅香!おい!」
夢月の声の中
私は精一杯の力を出して言いました
「む・・・つ・・き
 みっ・・・か・・・・か・・ん
 あ・・りが・・・・と
 だぁい・・・・す・・・き・・」

  ぽちゃあん・・・がちゃんっ

紅香の居た所には
死に掛けた金魚とこぼれたココア
そしておもちゃの婚約指輪が
転がっていました

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