林檎の実/山崎 風雅
季節風は風向きを変えた
僕達は異なる道を歩くことになった
信号機のランプは黄色に灯る
もう こんなところまで来てしまった
涙のない別れ
突然の別れ
二人で舞った街は
僕達とは無縁のように冬に加速する
二人を包んだ赤い魔法は
林檎の実が落ちるように
ポトリと音を立てて消え去った
今も恋の微熱は胸に残り
もう届かない気持ちは
冬の始まりに宙に浮いたまま
忘れたいさ
でも忘れられない
あなたの手
あなたの唇
あなたの鼻
あなたの瞳
あなたの声
冷めてしまって
手の届かないところに行ってしま
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