幽明の境/atsuchan69
夜の海/ 陸地をはなれ水平線に向かってすすむ
その暗がりを/ 滑らかな波を逆撫でるように
いつ沈むとも知れない虚空をとぶ/ 僕の魂が
闇にまぎれ狂い泣きながら、ただひたすらに
沖へ/ さらに沖へとすすむ//
「僕は死んだ、
にも拘らず 浮遊する/意識・・・・
そしてハイド・パークのスピーカーズ・コーナーに立ち、
今にも壊れそうなソープボックスから話す幽霊//
――時刻は深夜:人々の寝静まった頃――
「さて、死ぬ前には誰だって恐れというものがある筈/
ただ死んでしまえば恐れなど微塵もなくなるのだ、
在るのは死のみ/ それ以上でも、それ以下でもない
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