ウロボロス/下門鮎子
て
どこかへ向かっているから
(問わずにはいられない)
ウロボロス、
故郷とはなんだろう
わたしにはあなたの姿が
懐かしくて
眠れない
ウロボロス、
返事などいらない
アルデバランまで連れて行って、
あの赤い牛の目のなかで
あなたを想おう
ここは少し騒がしい
でもあなたを想っている
いつも
この騒がしさのなかで
ウロボロス、
わたしたちには見えないものでも
あなたには見えている
見ないふりをしないで
手を貸してくれたら
ウロボロス、
わたしはあなたのことを
あなたと呼ぶけれど
それはこの者が
わたし
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