遠雷/嘉村奈緒
 
 

刈り入れ時もよくわからないまま
彼女は優しい鎌をかける
遠雷
そのテンの首巻きはいい具合に違いなくて
ここいらは雪が笠のように積もるから
いつだって粗食で
ネジをまかれている
たくさんの機械人形が規則正しい日常だ
ほら粟だよ
ひえだよ
キイキイとしてごちそうさまだよ
遠雷
赤い長靴を履いて並ぶんだ!
銃がないから鍬を持つんだ!
だーんだーんだーん
土着!土着!どちゃく!
おまえ生きて帰ってきておくれ
おまえ生きて帰ってくるよ
坊やも小さい
小さい長靴
長靴は
赤い
遠雷に次ぐ
遠雷
彼女の鎌はとても優しい
俺は粗暴に鍬を振る
彼女の鎌は
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