四角い時計/ぽえむ君
 
その部屋と
その人は動いていた

その人がここに来てからずっと
何もかもが止まることなく
動いていた

その人が
うれしいときには
その部屋も笑い
悲しいときには泣きもした

しかし
年が経つにつれ
その人は疲れていった

やがて
その人から
言葉が止まった

その部屋から
ガスが止まった
水道が止まった
電気が止まった

ついに
その人から
心臓が止まった

その部屋も
その人も全てが止まった

壁にかかっている
四角い時計の秒針の音だけを残して
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