「 蹴球短歌。 」/PULL.
 






自由人。
校庭のベッケンバウアーは、
痛めてもない肩を吊り。

蹴球少年はリベロの意味知らずして、
ベッケンバウアーを知る。



少年の目に映るその稲妻は、
鮮烈にしてクライフ・ターン。

たった一度見ただけのそれ、
校庭の隅にて何度も繰り返し。
使うなと言われても試合で使う。
そんな意地あった少年の日。

「憧れの人は、
 ペレ?リベリーノ?。」
「ううん。
 空飛ぶオランダ人。」
「それ誰?。」

それはヨハン・クライフ。
もうひとりのジーザスは空飛ぶオランダ人。



セレソン。
選ばれしカナリアたち。

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