石の記憶/黒川排除 (oldsoup)
 
時間ですよと
    もう道が消えてしまったよ
レインコートじゃない?
  関節の骨がすり減っているのね
    あれは電線じゃない
どうして
    弦楽器の弦だよ
  ブルル
    だから明かりは灯らない
指先まで石みたいな色して

    時間だ
  馬が帰ってくる傷口を残して
古ぼけた蹄鉄で時間を遡ってくる
わずかな駄賃から金属の味がする
わたしが誰であってここがどこで
なにがどうなって木材は水に
濡れると黒くなるでも立派な黒じゃない
ひとつ嘘をついていた
でも言わない
轢死
したい
わたしの話に馬車が出てきたとき
わたしの名前は「わたしの馬車を知りたくない」である
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