石の記憶/黒川排除 (oldsoup)
遠くから馬車の音
おと
むかえがくる
くる
電柱のちかくに
わたしは濡れた
沈黙した
強い雨だ
わたしは
わたしの名前を知っていた
だが忘れた
旅人のように忘れた
フルートを吹きながら忘れた
ある日の天気予報を
信じつつ低気圧がぐるぐる
しているのをおぼえつつ
忘れた?
いや疲れたと
言うほかないのか 大声で
取り残され家々の谷間
本物の土
粒の中のさらに小さな粒
ある
轢死
あるいは歴史
地層は物語る
塩の
あった
時代
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