キャッチボール/山崎 風雅
茜空が僕達を照らしてる
きれいなオレンジ色に映るボールを
投げては受け
受けては投げ
弟と家の前の路地で
夜の帳が降りるまで
キャッチボールをしていた
やがて味噌汁のいい香りが漂い
母のやさしい声が呼んでいる
食卓には好物のとんかつと
サラダと豆腐と味噌汁
我先に我ら兄弟4人は
食事を口に運び込む
僕は長男
二つ下の弟とどちらが食べれるか
競争する
お変わりのラッシュ
最高でお茶碗に10杯食べた
弟は12杯食べた
あの頃
全力で生きていたような気がする
母も若く美人で
兄弟もケンカしながらも
仲がよかった
まるで違う惑星に住んでるかのよう
今のこの暮らし
ノスタルジーは秋の夜長にぴったり貼りつく
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