これは詩ではない。/佐々宝砂
 
つまらない。

魂の台所の火は消えた。あたしはあなたを暖めてあげられない。次の店を探してかっこつけてバーボンでもジンでも呑んでちょうだいそこにはきっと可愛い女の子がいるでしょう。だけどどうか心配しないであたしは今日も元気に靴下を繕う。

水があふれてくるこの庭先にあたしは砂を撒く。春なのに掃いても掃いても掃ききれない枯れ葉の山。あたしは砂を撒く。繰り返し繰り返し撒く。幸福の王子は宝石と黄金をはぎとって幸福だが、あたしはこれ以上何をはぎとろう? あたしは砂を撒く。誰かがもういいよと言ってくれるまで。

堆積してゆくあまい記録紙の束にあたしはガソリンをかけチャッカマンで火をつける。そうだよ
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