踝 (くるぶし)/shu
 
足首をむんずと掴む
ひぃと鳴いて畳を爪で引っ掻きながら逃げ惑うのを
ぐいと引き寄せたならば
浴衣の裾が乱れて露となった
太ももの一文字の傷に目を奪われ
はあはあと唇を寄せる
「そこはそこは いけませぬ」
と困ったように額に皺寄せ懇願するもトンカチを投げ捨て
息荒くあなたに覆いかぶさればどこからか鈴虫の鳴き声が

「どこで鳴いているのでしょう」
「はて どこであろう」

そうして二人はくるぶしのことなどすっかり忘れて
わたしはあなたの膝枕で団子を頬張りながら
鈴虫の鳴き音にうつらうつらとするのでありました




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