踝 (くるぶし)/shu
足首をむんずと掴む
ひぃと鳴いて畳を爪で引っ掻きながら逃げ惑うのを
ぐいと引き寄せたならば
浴衣の裾が乱れて露となった
太ももの一文字の傷に目を奪われ
はあはあと唇を寄せる
「そこはそこは いけませぬ」
と困ったように額に皺寄せ懇願するもトンカチを投げ捨て
息荒くあなたに覆いかぶさればどこからか鈴虫の鳴き声が
「どこで鳴いているのでしょう」
「はて どこであろう」
そうして二人はくるぶしのことなどすっかり忘れて
わたしはあなたの膝枕で団子を頬張りながら
鈴虫の鳴き音にうつらうつらとするのでありました
戻る 編 削 Point(3)