雨/松嶋慶子
 
泣いてくれてる 雨がわたしのかわりに



立ち尽くす さよならを雨に消されて  



突然の抱擁に雨をも忘れた あの日



虚空からしたたる涙を 口に含んでみる



涙より あたたかい雨があるとは



メールより確かなものは 雨の感触



歩道橋 雨にさらされて ひとり




--------------------------
1988/9
戻る   Point(3)