ヒューム「ベルグソンの芸術論」(1)/藤原 実
しかし、このような「一つの遠近法的な中心」を設定して世界を見ようとする枠組みを二十世紀という時代は粉砕してしまいます。
ジョン・バージャーは1839年の写真の発明以後、それまでの遠近法的なイメージによって組み立てられていた知覚の枠がはずれてしまったことを指摘しています。
ルネッサンス以来、西洋特有の遠近法は、見る者の眼こそが世界でただひとつの中心であるとして、すべてを配置し、現実のイメージを組みたててきました。その固定された視点は「まるで灯台からの光線のよう」に世界をながめてきたのです。しかし新たに登場したカメラの眼は遠ざかったり近づいたり、自由に移動しながら一瞬一瞬のものの外観
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