ヒューム「ベルグソンの芸術論」(1)/藤原 実
でたらめに寄せ集めただけの奇想的で機械的な働きにすぎないもの、として貶めたのでした。主体が客体に融合し、自己が対象に感情移入する、「私」の絶対化を志向したロマン主義的精神の典型がここにあります。
コウルリッジによれば、日の出の情景を、茹でられたエビの色が黒から赤に変わるさまで喩えたバトラーの『ヒューディブラス』の詩句などは、ただ一部の類似点を頼りに寄せ集めた材料が並べられただけで、「日の出」と「エビ」というふたつの異物はひとつの圧縮されたイメージとして溶けあうことがない、「空想(ファンシー)」にすぎない。それに対して、「多を一へと還元させる力」を「想像力(イマジネーション)」は持つのだ、
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