fractal/あやさめ
読み上げる。
「夕闇に向けて行進を続けていく鉢巻のない行列は
雲の速度も気にしないで 物理法則を無視して
太陽の動きと同じ速さで北極点の周りを進んでいきます
だから夕闇はいつまで経ってもやって来ないので…」
<3>
「…と書き出したのはいいけれども、この文章の中で語ることにどんな意味があるの?」
「別に何の意味もなくていい。問題はその作品が『語られる』ことにあるわけで、それから勝手に意味はついてくる。」
「意味はついてくる?」
「つまり僕たちが目の前にあるこの台本、これを『読む』ときに、自ずと意味は生じてしまうだろう。
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