人形の秋/ぽえむ君
 
わずか25cmの彼女は
メルフェンだった
愛くるしい顔をした
庭の番人

彼女の周りにはいつも
伸びてくる草や
季節の花々に囲まれ
笑顔を絶やすことはない

時折り
トカゲや大きなクモが
彼女に近寄るけれど
それでも彼女は
はにかんで挨拶をする

ただ1つ
彼女には色が付いていなかった
全身が陶器色のクリームだった

彼女は
草の緑や赤い花を
木々の茶色や白い雲を
番人の仕事として
見守るしかなかった


彼女の帽子に
赤いトンボが止まる

彼女に色が染まり
彼女の顔がいつもよりも
やさしく見える
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