透明の光/日朗歩野
1
ドングリが遠い目をして
冬の正解(こたえ)を探している
もうすぐ大きな冬の翼が
やってくる
僕は森によばれる
いかなくちゃ
山猫の親分は
ピリピリしながらも
やさしい
なにか手伝いたいけど
なにも出来ない
2
大きな大きな冬の翼が
森をつきぬけ
息を新しくする
ウサギ達の失われない目の輝きは
あまりに素朴な強さで
冬を見つめる
(やがてくる春ではなくて)
ドングリが静かに
芽を出す準備をしている
もう正解(こたえ)なんて探してはいない
3
透明な光は
冬にこそ生まれるのだ
強く透き通った
透明の光
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