時には野辺に抱かれて/きりえしふみ
朝露が飾る野原は 可愛い
お澄まし顔の女の子みたいに
しいん、としていて
洗い立ての髪、風に靡かせている
黄色い花、薄紫の野の花の
色々の顔で 僕らを見ている
ねえ 僕らも そんな風に
時には 黙って
吹く風に頷いていられたなら
そんな風に ただ微笑んで
君の事、両手いっぱい
心いっぱいに
受け止めてやれたなら
きっと 誰もが そんな風に
生きられたら 戦争さえもなくなるのにね
不器用でごめん
意地っ張りでごめんよ
僕ら人って奴は
独りよがりに 走って
子供みたいに 泣いている
偏屈な生き物だから
風みたいに 自由
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