断髪式 /服部 剛
 
( おいおい、いつまで見とれておるか。
( 魅惑の花と気持のよいことを指折り数え 
( ぽ〜っ と上を向いたらきりがない・・・ 

( 幻と消える花々に 
( 飢えたその手を伸ばすより 
( たった一つの熟した愛を、
( そろそろ探す、旅に出ないか 

髪を短く刈られた「三十歳の男」 
入店前よりも少し きりっ とした顔つきで 
床屋の開いた自動ドアから出ていく 




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