夕餉への道 /
服部 剛
自転車に乗って
歩道に沿った白線の上を走っていた
アスファルトの割れ目から生える
しなやかな草々をよけながら
背後から
巨(おお)きいトラックのクラクションが聞こえ
思わず白線の内側に自転車を傾ける
くしゃ
車輪の下に、命を終える、音がした。
何を潰(つぶ)したのか、わからない。
わからないまま、
自らの悪気の無い残酷さには、
見て見ぬふりの、まばたきで。
私はペダルを漕(こ)いだ
今晩の空腹を満たすため
いつもの定食屋へと
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