ゆくえ ふるえ/木立 悟
 



鏡の前のふたつの影
光をよこぎる
見えない種の重なりの影


何かを被せられた石は
何かを被せられた人のように倒れ
雨のなか打たれ はためいている


灰にひろがる白のるつぼ
軌跡を残さず駆けまわるうた
ほとばしるかたちを仰ぎみる子


ひとり歩む影のなかに
小さな鳥の群れは棲み
枯れ落ちかけた花を見つめる


蔓は横へ横へと刃に導かれ
胸は苦しさを増すばかり
明るい無色を吐くばかり


空をすぎる葉脈の
冷たい迷路が水に落ち
倒れた石たちを眠らせてゆく


種がとどく荒地
見えない森がざわめく
種が生きる荒地


蒼に至る羽の動き
鏡へ鏡へ降りつづく影
光をよこぎるうたの影











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