とある在日三世のメモ書き/はらだよしひろ
風の音
いや、扇風機の音
たどたどしい筆跡
チャンゴの音
ここは日本
誇りの部屋
僕は眠い
東京の夜は
色深き森
煙草の味
300円が心地よくゴミとなる
空いている満員電車
信じることで
人のうねりも
全て忘れて歩く
意志はある
歪んだ心が磨耗して
口ずさむ
そして思う
思い続ける
済州島は風に洗われて
雑踏の朝の僕という
一点の清々しさを
夜影に想像する
匂いは無い
僕はスーツ姿で
豚を思い起こす
なんて考えてみたりもしたが
筆跡の向こうには海の音が見えるようで
チェサの生々しささえ心地良い
明日も仕事だ
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