「 にくよくの、っくす。 」/PULL.
「っくすって、
くしゃみみたいな言い方ね。」
と、
終わったばかりの彼女が呟き。
ひとにぎりふたにぎり。
ふたにぎりと、
ちょっと。
誰かのものと、
比べないで。
「肉欲って、
なまなましい漢字よね。」
そう言って、
彼女が頬張ったから。
漏れちゃうと、
何度も言うので、
「してごらん。」
シーツを濡らす彼女は泉。
恥ずかしいと、
シーツのシミを隠すから。
愛おしくなって、
また辱める。
「いやらしい指ね。」
そう言って彼女は、
ぼくの深爪をぺろりと舐めた。
いくいくいくと、
白目を剥いて泣き叫ぶ。
彼女はどこにゆくものぞ。
「もっと、
っくすしたいの?。」
そう、
彼女が訊くので、
「ううん。
きみとだけ、
っくすしたい。」
了。
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