火照り/山崎 風雅
 
 激しい夏の日々は遠ざかり今は秋
 太陽は街を焦がし山を焦がし海を焦がした
 熱は放射され僕達にも注がれた

 まだ肌が小麦色に残る腕や背
 夏の思い出そのあやふやさ
 祭りのように胸が騒いだけど
 少し淋しい季節が訪れる

 体に残る疲れはほどかれて
 涼しげな風がこの髪を弄ぶ
 色の移ろいを感じさせる木々
 安らかに瞳の中に風が吹く

 忘れ物はたくさんした気がする
 それも許されているような気になるのは
 秋ゆえの優しさだろうか

 夏が僕に残した火照り(ほてり)



戻る   Point(9)