古ぼけたバイク/山崎 風雅
もう動くことなどないように見える
古ぼけて置き去りにされたバイク
街の片隅でご主人様から捨てられた
輝かしい時代もあっただろう
購入したてのピカピカの時代もあっただろう
今は雨風に打たれて
厳しい天気をしのいでいる
橋の下ではホームレスが洗濯してる
彼らにも輝かしい時代があったはずだ
両親のいない子供はいない
親から誕生を祝福されたに違いない
時代は弱き者を淘汰して
使い捨て時代にはびこる悲劇
いつ僕だってそうなるかわからない
そう
あなただって分からない
あの古ぼけたバイクのようになるかもしれない
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