雑考/虹村 凌
持が増え、しのぎが回ってくる。
知らない人の死に対して涙を流すのは、
懺悔の気持ちなんだろうか。
それとも迫り来る死と言う事実への恐怖なのか。
誰かを社会的に抹殺、あるいは肉体的に殺す事に、
多くの人間が怯え、嫌がり、顔を背けるだろう。
人間だけは、そう簡単には殺せない。
蟻の触覚を契り、飛蝗の足を捥ぎ、
蝶や蜻蛉の羽を攀じる事は出来ても、
人の手足を切り落とし、眼を潰し、口を塞ぎ、
睾丸を握りつぶしたり子宮を破壊する事は躊躇う。
正当化する訳じゃないけれど、やってる事は同じなんだぜ。
それには多くの人間がとっくに気づいている。
学校では教えてくれな
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