カラコロクル/紫翠
葡萄の葉陰に抱(いだ)かれて
青い果実のひとふさは
日ごと重くなりました
花びらのかわりに
熟れた種子をいっぱいにして
向日葵は皆うなだれました
高い空
すうと流れる
赤とんぼは寂しかろ
あの夏の日に群れ飛んだ あの子はどこへいったろか
日も落ちて
涼風の波間に
そっと枝を離れた木の葉
漂う りゅうりゅう虫の声
泣いているよな 靴音
響かせて 霧の中
ふと 立ち止まれば
この においをおぼえている
さよなら、の
長い影をひいて
からころ
からころ
秋はくる
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