ヴァンサン、夏の終わり/石瀬琳々
 
いよ君は いつから一人で遠くを見て
僕だけを置いてきぼりにするなんて

      
(ヴァンサン)
(ヴァンサン)


君の声が聞こえる


君は窓の外をいつものように
裸の足裏で駆けてゆく
もう少ししたらあとで行くからね
僕はそうつぶやいて手を振り返す
君は白い歯を見せて
銀葉(ぎんよう)アカシアの並木道へ消えてゆく


いくたびも
いくたびも繰り返して
僕は合わせ鏡のふたりぼっち
永遠に夏のまま
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