緑の輪/
木立 悟
鉄の静けさのむこうから
夜を乱すもののように
細かな白は鳴りひびく
悲しみは悲しみのまま
ただどこまでも歩いてゆく
つぶやきはいつのまにか
つぶやきではなくなってゆく
荒れ地から荒れ地へと
草の原から草の原へと
天気雨から天気雪へと
水と光にまみれて歩きつづける
誰に届くともなくありがとうを言い
涙する日に
届くはずもないありがとうを言い
涙する日に
絶対に届かないひとの前で
緑にまみれた腕をひらき
微笑む日に
戻る
編
削
Point
(6)