明日の窓/霜天
 
間違えることが、終わって
拍手がいつまでも続いている
始まりと終わりが気になるのは
それだけが手触りを残していくから

雨に濡れた窓が
鉄塔に光る赤い昨日を反射している
さよならを言えない
音は遠くへ吸い込まれて


眠り続けた昨夜が
遥かな物語を聞くように
薄い煙の中を行く、道の
頼りなさで揺らめいている
窓を開ければ手を放す
落ちていくものは戻れないのに
ただ上を向いている
まだ、上を向いている


明日になれば

間違えることが、終わって
拍手がいつまでも続いていく
差し伸べられた手を、掴めば
それよりも遠くなる自分が、いる


明日になれば
さよならも言えない
それだけは手触りを残していくから
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