花吹雪の中で 〜出逢いの日〜/服部 剛
 
幾枚かの花弁(はなびら)が舞い落ちる 
淡い光のあふれるいつかの場所で 
あの日の君は
椅子に腰かけ本を読みながら待っている 

いたずらに 
渡した紙切れの恋文に 
羽ばたく鳥の切手を貼って 
君の白い手から放たれた絵葉書は 
風に運ばれ 
僕の許(もと)へ

明けることの無い夜に佇(たたず)んでいたあの日の僕は 
絵葉書を手に境界線に足を踏み入れ 
淡い光のあふれる場所へ 

音の無い僕の足音に 
顔を上げた君は立ち上がる 

花吹雪の舞うトンネルの中 
遠くから互いの姿は近づいて 
初めて瞳を合わせた 
あの日 







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