あたしが好きなあたし/蒼依
 

剥げてしまったあたしの桜色のネイルを見て
楽しそうに指をつかんだあなた
子供みたいに無邪気な顔でネイルカラーを取り出して
綺麗にしてくれた

蛍を見に行こうって夜の電車に乗って
人のいない川辺で二人ぼっち
なかなか出てきてくれないものだから
星を見上げて夜を明かした

好きなものヒトツだけあげると
あたしを部屋に通した木枯らしの日
男物のネルシャツをパジャマにして
ひとりの夜も包まれる気持ち

隣に並ぶ色違いのホットココアのカップを
握るたびにコツンと鳴る指輪
湯気の向こうに見えるあなたと思い出が
ずっと続く夢を見る

幸せな現実をいつ失うのかと怯える日もあるけれど
今日までの日々は変わらない現実

あなたが拾って可愛がって
綺麗にしてくれたあたしを
あなたと同じように
今とても愛しいと思う



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