「 きいろいし、み。 」/PULL.
 
 とっても気持ちがよかったものさ。」

漂白されたように白い壁。
すべてが白く塗りかためられていて、
そこだけがきいろいしみに染まっている。

婆はいつまでもそこを撫で続けていた。




二。


わたしの父は白い肌と手をした父だった。
父の肌にはしみひとつない。
ゆで卵のようにつるりとした肌が、
触れるととても気持ちがよく、
母に注意されるまでいつも、
父の手や頬を撫でていた。




三。


わたしの家族はわたしが産まれてからずっと変わらない。

わたしと母と婆と父。
これがわたしの家族であり、
この家族でずっと家族の営みを続け
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