ともだち/ZUZU
ともだちだって
しょうこをみせてって
メロスの本を閉じながら
あの子がいった
しょうこなんかないよ
しょうこなんかないから
ともだちなんだよ
ぼくはどもってそういった
そういうふうなことをいった
あの子の目のなかに
銀河のように星がながれた
ぼくはどこかあたまのうしろのほうで
ああたぶん
約束は守れないんだとわかった
ぼくはいたずらに笑って
心配すんな、
といった
ぼくは約束を守るよ
ともだちだからね
そうはいわなかったけど
だってしょうこなんかなにもないからね
あの子はだまって
背中で手も振らないで
路面をはずれた無人鉄道にのって
去ってしまった
たぶん
えいえんに
手をはなれた雲間のビンのように
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