ここではないどこかへ/狸亭
ここではないどこかへ飛んで行きたいのだ
ずうっとそう思いながら生きてきたのだ
プールの中で仰向けに空をみあげて
おおきく息を吸いこんで溜息ついて
からだにまといつくなめらかな水の揺れ
あざやかな朝の光や風にも疲れ
おれはここでもやっぱり囚われ人だと
いやな想いにおそわれるのだ逃げたいと
どこへと聞かれてもすぐには答えられない
どこへ行ってもいつも日常しかない
非日常もすぐ日常になるだけ
こんなわたしを必要とする人がいて
それだけで今もこうして生き長らえて
詩のようなものを書きつづっているのかな。
19980729
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